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【実践ワーク】チームで意見の対立を乗り越え、より良い解決策を共同創造するワークショップ

Tags: チームワーク, 問題解決, 対立解決, 共同創造, ワークショップ

はじめに

ソフトウェア開発チームの活動において、意見の対立は避けられないものです。新しい機能の実装方針、技術スタックの選定、タスクの優先順位付けなど、多様な視点や専門性を持つメンバーが集まるからこそ、異なる意見が生まれます。

この意見対立を単に「問題」として避けたり、力任せに押し潰したりすることは、チームの創造性や健全性を損なう可能性があります。重要なのは、対立を恐れるのではなく、それをチームの成長やより良い成果を生み出すためのポジティブなエネルギーとして活用することです。

本稿でご紹介する「共同創造ワークショップ」は、チーム内で意見対立が発生した際に、感情的な衝突に陥るのではなく、対立の背景にある本質的なニーズや価値観を探求し、多様な視点を取り入れた革新的な解決策をチームで共同で生み出すことを目的とした実践的なワークショップです。

共同創造(Co-Creation)とは何か

共同創造とは、単にチームとして一つの合意点に達することだけを指すのではありません。それは、異なる視点や知識を持つ複数の関係者が対話を通じて深く関わり合い、お互いのアイデアを刺激し合いながら、既存の枠組みを超えた新しい価値や解決策を共に創り出すプロセスです。

意見対立は、この共同創造の貴重な種となり得ます。なぜなら、対立する意見の中には、それぞれのメンバーが重要だと考えていること、見えている課題、達成したい目的などが凝縮されているためです。これらの要素を表面的に否定するのではなく、その深層にあるニーズや価値観を理解しようと努めることで、従来の思考パターンでは見つけられなかった全く新しい視点や解決策が生まれる可能性があります。

ワークショップの目的と期待される効果

目的:

期待される効果:

ワークショップの準備

円滑なワークショップ進行のためには、事前の準備が重要です。

ワークショップの手順

以下に、共同創造ワークショップの具体的な手順を示します。時間の配分は目安であり、チームの状況に合わせて調整してください。

ステップ1:対立状況の共有と問題の明確化(15分)

まず、現在起きている意見対立の状況を客観的に共有します。ファシリテーターは、感情的な側面を排し、どのような事実や状況に対して意見が分かれているのかを明確にするように促します。

ステップ2:対立の背景にあるニーズや価値観の探求(30分)

このステップは、共同創造において最も重要な部分です。表面的な意見の対立のさらに奥にある、それぞれのメンバーが本当に大切にしていること、その意見を持つに至った動機、達成したい目的、隠れた懸念などを探求します。

ステップ3:多様な視点からのアイデア発想(30分)

ステップ2で明らかになった多様なニーズや価値観を全て満たすような、あるいはそれらを高次元で両立させるようなアイデアを自由に発想します。

ステップ4:アイデアの統合と解決策の共同創造(20分)

出された大量のアイデア群を整理し、ステップ2で探求した多様なニーズや価値観を最も良く満たす可能性のある解決策を、チームで共同で作り上げていきます。

ステップ5:次のアクションプランの合意(10分)

共同で作り上げた解決策を、実際の行動に繋げるための具体的なアクションプランを定義し、チームで合意します。

成功のためのポイントと注意点

まとめ

意見対立は、適切に扱われれば、チームの創造性を刺激し、より深く本質的な問題解決へと導く強力な推進力となります。本稿でご紹介した共同創造ワークショップは、意見対立を恐れるのではなく、それを多様な視点の源泉として活用し、チーム全体で革新的な解決策を生み出すための具体的な実践手法です。

このワークショップを継続的に実践することで、チームは対立を乗り越えるスキルを高めるだけでなく、相互理解を深め、心理的安全性を向上させ、最終的にはより強固で創造的なチームへと成長していくでしょう。ぜひ、皆様のチームでもこのワークショップを試していただき、対立を共同創造の機会に変えてみてください。