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【実践ワーク】チームの合意形成を円滑にする意思決定ワークショップ

Tags: 意思決定, チームビルディング, ワークショップ, 合意形成, ファシリテーション

チームで効果的な意思決定を行うことは、プロジェクトの成功や生産性の向上に不可欠です。しかし、意見が対立したり、議論が収束しなかったりして、意思決定に時間がかかったり、質の低い決定に至ってしまうことは少なくありません。

本記事では、チームの合意形成を円滑に進め、より良い意思決定を行うための具体的なワークショップ手法をご紹介します。それぞれのワークの進め方、メリット・デメリット、そして効果的に実施するためのポイントを解説しますので、ぜひチームでの実践にお役立てください。

なぜチームでの意思決定は難しいのか

チームでの意思決定が難航する主な理由には、以下のようなものが挙げられます。

これらの課題を克服し、チームとして質の高い意思決定を迅速に行うためには、意図的に構造化されたワークショップを取り入れることが有効です。

チーム意思決定のためのワークショップ手法

ここでは、チームでの意思決定に役立つ代表的なワークショップ手法をいくつかご紹介します。

1. コンセンサスに基づく意思決定

2. ドット投票 (Dot Voting)

3. フィスト・オブ・ファイブ (Fist of Five)

意思決定ワークショップを成功させるためのポイント

実際のシナリオ例:開発プロセスの改善点特定

あるソフトウェア開発チームが、スプリントの終わりに行うレトロスペクティブで「次スプリントで改善する特定のアクションアイテム」を決定する、というシナリオを考えます。

  1. 課題の洗い出し: 前のスプリントで上手くいかなかったこと、改善したいことをメンバーそれぞれがポストイット(またはオンラインツール)に書き出し、壁に貼ります。
  2. グルーピングとラベリング: 類似する課題をグループ化し、それぞれのグループに分かりやすいラベルを付けます。(例:「ミーティング時間」「タスクの見積もり」「コードレビューのリードタイム」など)
  3. 重要度・影響度の議論: 各課題グループについて、なぜそれが問題なのか、チームにどのような影響を与えているのかを簡単に議論します。
  4. 改善アクション案のブレスト: 各課題グループに対し、具体的な改善アクション案を複数ブレインストーミングします。(例:「ミーティング時間を短縮する」「見積もり方法を見直す」「コードレビューの時間を毎日確保する」など)
  5. 意思決定(ドット投票の適用): 多くの改善アクション案が出たため、次スプリントで最も優先的に取り組むべき改善アクションを決定するためにドット投票を実施します。
    • 各メンバーに3点の持ち点を与え、「次スプリントで最も大きな効果が見込めそうなアクション案」に投票してもらいます。
    • 集計の結果、最も点数が高かった「コードレビューの時間を毎日午前中に30分確保する」を次スプリントの改善目標として決定しました。
  6. 次のステップの定義: 決定したアクションについて、「誰が(担当者)」「いつまでに(開始日)」「具体的に何をするか(毎日30分スケジュールにブロックする、など)」を明確にします。

このように、意思決定の手法をワークフローの中に組み込むことで、議論を構造化し、参加者全員が納得感を持って次のステップに進むことができます。

まとめ

チームでの意思決定は、ただ議論するだけでなく、意図的に構造化されたプロセスを経ることで、その質とスピードを格段に向上させることができます。コンセンサス、ドット投票、フィスト・オブ・ファイブといった手法は、それぞれ異なる特性を持ちますが、どれもチームの意見を効果的に集約し、合意形成を促す強力なツールとなり得ます。

重要なのは、これらの手法を単なる形式としてではなく、チームの状況や課題に合わせて適切に選択し、柔軟に組み合わせながら活用することです。そして何より、全てのメンバーが安心して自分の意見を表明できる心理的に安全な環境を築くことが、どんな手法を用いる場合でも最も重要となります。

ぜひ本記事でご紹介したワークショップ手法をチームで試してみてください。実践を通して、あなたのチームに最適な意思決定プロセスを見つけていくことができるはずです。