ブレスト&決定力向上塾

【実践ワーク】チームの現状と課題を可視化し共通理解を深めるワークショップ

Tags: チームワーク, 現状認識, 共通理解, ワークショップ, コミュニケーション, 課題特定

チームでの問題解決や意思決定を効果的に行うためには、まずチーム全体で「今、何が起きているのか」「どのような課題があるのか」についての共通理解を持つことが不可欠です。個々人が異なる認識を持ったまま議論を進めても、根本的な原因にたどり着けなかったり、解決策の方向性がずれてしまったりすることが少なくありません。

本記事では、チームメンバーがそれぞれの視点から見たチームの現状や課題、強みなどを率直に共有し、それらを可視化することで共通理解を深めるための実践的なワークショップ手法をご紹介します。このワークショップを通じて、チームの「健康状態」を把握し、次に取るべきアクションを見定める基盤を築くことができます。

ワークショップの目的

このワークショップは、以下の目的を達成することを目指します。

ワークショップの参加者と所要時間

ワークショップで準備するもの

ワークショップの手順

ステップ1:導入とアイスブレイク(5分)

ワークショップの目的と進め方を参加者全員に説明します。心理的安全性を確保し、率直な意見が出やすい雰囲気を作るために、簡単なアイスブレイクを実施することも有効です。

ファシリテーターは、「このワークショップは、チームの現状をより良く理解し、今後の活動に活かすためのものです。ここでは、どのような意見も歓迎されます。他者の意見を否定することなく、率直な気持ちを付箋に書いて共有しましょう。」といったメッセージを伝えます。

ステップ2:発散(個人の内省と記述)(15分)

参加者それぞれが、以下のテーマについて内省し、思いつくことを付箋に1つずつ具体的に記述します。付箋1枚につき1つのアイデアや事実を記述します。具体的な状況や行動を記述することで、後続の共有や議論がしやすくなります。

テーマ例:

テーマはチームの状況や目的に合わせて調整可能です。例えば、「開発プロセスについて」「コミュニケーションについて」「プロダクトについて」など、焦点を絞ることもできます。

参加者には、他の人の意見を気にせず、自分自身の素直な感覚や経験に基づいて記述することを促します。量は問いませんが、最低でもいくつか書くことを促しましょう。

ステップ3:共有と貼り出し(20分)

各自が記述した付箋を、模造紙やホワイトボードの指定されたエリアに貼り出します。テーマごとにエリアを分けておくと分かりやすいでしょう。

付箋を貼り出しながら、簡単に内容を発表してもらう時間を設けます。一人あたり1枚ずつ順番に読み上げ、なぜそう思ったのか、具体的なエピソードなどを簡潔に共有します。これにより、他のメンバーが記述内容の背景を理解しやすくなります。時間が限られている場合は、気になる付箋についてのみ質問時間を設けても良いでしょう。

この際、ファシリテーターは、発表内容に対するコメントや質問は内容理解の助けになるものに限定し、評価や反論はしないように促します。

ステップ4:グルーピングと傾向の特定(15分)

貼り出された付箋全体を俯瞰し、似たような内容や関連する内容の付箋をグループ化します。これはチーム全員で協力して行うと、共通の認識を深める良い機会になります。ファシリテーターが主導しても良いでしょう。

グループ化が終わったら、それぞれのグループにタイトルをつけます。これにより、どのような傾向や論点があるのかが明確になります。例えば、「レビュープロセスの非効率」「情報共有の不足」「特定の技術スタックへの習熟度不足」「チーム内の称賛文化」といったグループタイトルが生まれるかもしれません。

ステップ5:全体での振り返りと議論(15分)

グルーピングされた結果をチーム全体で共有し、議論します。

この議論を通じて、「チームの現状について、私たちはこう認識している」という共通理解を形成します。すべての課題を一度に解決しようとするのではなく、このワークショップで見えた全体像を基に、今後どの課題に優先的に取り組むかをチームで話し合うためのスタート地点と位置づけます。

ワークショップの効果を最大化するためのポイント

まとめ

チームの現状認識と共通理解は、あらゆる改善活動や問題解決の出発点となります。本ワークショップは、比較的短時間でチームの状態を可視化し、メンバー間の認識のずれを減らし、建設的な対話を生み出すための有効な手段です。

ぜひ、あなたのチームでもこのワークショップを試してみてください。チームの健康状態を定期的にチェックし、オープンな対話を通じて、より強くしなやかなチームを目指しましょう。このワークショップで特定された課題に対し、どのように深く掘り下げ、解決策を見つけていくかについては、今後の記事でも具体的なワークショップ手法を紹介していく予定です。