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【実践ワーク】チームで開発プロセスのボトルネックを特定し改善するワークショップ

Tags: チームワークショップ, 開発プロセス, ボトルネック分析, チーム改善, アジャイル開発

チームで開発プロセスのボトルネックを特定し改善するワークショップ

ソフトウェア開発チームのパフォーマンス向上は、多くの組織にとって継続的な課題です。開発速度の遅延、品質問題の頻発、予期せぬ手戻りなどは、チームの生産性を低下させ、プロジェクトの成功を妨げる要因となります。これらの問題の多くは、開発プロセスの中に潜む「ボトルネック」に起因しています。

本記事では、チーム全体で開発プロセスのボトルネックを特定し、具体的な改善策を検討・実行するための実践的なワークショップ手順をご紹介します。このワークショップを通じて、チームは現状の開発フローを客観的に理解し、最も影響が大きい阻害要因に焦点を当てた効果的な改善活動を展開できるようになります。

このワークショップの目的と期待される効果

このワークショップは、以下の目的を達成することを目指します。

このワークショップを実施することで、チームは以下の効果を期待できます。

ワークショップの参加者と準備

ワークショップの手順

ステップ1: ワークショップの目的と背景の共有(10分)

まず、今回のワークショップを行う目的(なぜ今ボトルネックの特定に取り組むのか)と、期待する成果を明確にチーム全体で共有します。現状の開発プロセスにおける課題や、チームとして目指す姿について簡単に触れると、参加者の当事者意識を高めることができます。

ステップ2: 開発プロセスの可視化(30分〜45分)

チームで、普段行っている開発プロセス全体を最初から最後まで、具体的なステップに分解して洗い出します。例えば、「要件定義」「設計」「コーディング」「単体テスト」「コードレビュー」「結合テスト」「デプロイ」「リリース」「運用・監視」など、チーム独自のプロセスに応じて洗い出してください。

洗い出した各ステップを付箋に書き出し、ホワイトボードやオンラインホワイトボード上に時系列で並べて、開発フロー全体を可視化します。この時、各ステップ間の「待ち時間」や「キュー(溜まっている作業)」も意識して書き出すことが重要です。シンプルな図で構いません。チーム全員で協力し、漏れなく、かつ現実の開発フローを正確に描写することを目指します。

ステップ3: ボトルネックの特定(30分〜45分)

可視化されたプロセス図を見ながら、チームでボトルネックになっていると思われる箇所を議論します。ボトルネックとは、プロセスの流れを滞らせている制約となる部分です。以下のような点を意識して話し合います。

各メンバーが付箋にボトルネックだと思う箇所と、その理由を書き出し、プロセス図の該当箇所に貼ります。全ての意見が出揃ったら、それぞれについて簡単に共有し、特に多くのメンバーがボトルネックと感じている箇所、または最も影響が大きいと思われる箇所をいくつか(例:上位3つ)特定します。投票や簡単な議論で優先順位を決めるのも良い方法です。

ステップ4: 根本原因の深掘り(45分〜60分)

特定されたボトルネックについて、なぜそれがボトルネックになっているのか、根本原因を深掘りします。ここでは特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)のような手法が有効です。特定したボトルネックを魚の頭に見立て、それに繋がる要因(例:人、ツール、方法、環境)ごとに具体的な原因をブレインストーミングします。

「なぜなぜ5回」を繰り返すなどして、表面的な原因ではなく、その奥にある真の原因を探求します。例えば、「コードレビューに時間がかかる」というボトルネックの原因として、「レビュー担当者が忙しい」が挙がった場合、さらに「なぜレビュー担当者が忙しいのか?」と問いかけ、「担当できる人が少ない」「他のタスクに追われている」といった具体的な根本原因にたどり着くことを目指します。

ステップ5: 改善策の検討と選定(30分〜45分)

根本原因が明らかになったら、それらを解消するための具体的な改善策をチームでブレインストーミングします。実現可能性、効果、コストなどを考慮しながら、できるだけ多くのアイデアを出します。

出されたアイデアの中から、最も効果的で実現可能性が高いと思われる改善策をいくつか(例:ボトルネックごとに1〜2つ)選びます。チームで議論し、合意形成を図りながら選定します。

ステep6: アクションプランの策定(15分〜30分)

選定した改善策を、具体的なアクションプランに落とし込みます。

これらの要素を含めて、実行可能な計画を立てます。これらのアクションは、普段のタスク管理ツール(Backlog, Jira, Trelloなど)に課題として追加し、チームの通常の開発タスクと同様に管理することをお勧めします。

ワークショップを成功させるためのポイント

まとめ

開発プロセスのボトルネックは、放置するとチームの生産性や士気を大きく低下させます。本ワークショップは、チームが一体となってこれらのボトルネックを特定し、効果的な解決策を見つけ出すための実践的なアプローチを提供します。一度きりでなく、定期的に(例えば数ヶ月に一度)このワークショップを実施することで、変化する状況に対応し、チームの継続的なパフォーマンス向上を実現していくことが可能です。

ぜひ、あなたのチームでもこのワークショップを試してみてください。チームの力で開発プロセスを改善し、より快適で生産的な開発環境を築く一助となれば幸いです。