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【実践ワーク】チームの多様な視点を問題解決・アイデア創出に活かすワークショップ

Tags: チームワークショップ, 多様性, 問題解決, アイデア発想, ファシリテーション

はじめに

ソフトウェア開発チームにおける問題解決や新しいアイデアの創出において、チームメンバーが持つ多様な経験、スキル、視点は非常に重要な資産となります。しかし、この多様性を意識的に活用できていない場合、議論が一方的な視点に偏ったり、画一的なアイデアしか生まれなかったりすることがあります。

本記事では、チームの多様な視点を意図的に引き出し、問題解決やアイデア創出の質を高めるための実践的なワークショップを紹介します。このワークショップを通じて、チームの集合知を最大限に引き出し、より創造的で効果的な解決策やアイデアを生み出すことを目指します。

多様性がもたらす価値と課題

チームにおける多様性とは、単にバックグラウンドや属性の違いだけでなく、考え方、問題へのアプローチ、得意なこと、経験したことなど、様々な要素を含みます。

多様性の価値

多様性活用における課題

一方で、多様性は意見の衝突やコミュニケーションの難しさを生む可能性もあります。これを乗り越え、多様性をポジティブに活用するためには、意図的な働きかけと安全な場づくりが不可欠です。

多様な視点を活かすワークショップの目的

このワークショップの主な目的は以下の通りです。

ワークショップの手順

所要時間はテーマの複雑さや参加人数によりますが、通常60分〜120分程度を見込みます。

準備

  1. テーマ設定: ワークショップで扱う具体的な問題、課題、またはアイデア創出のテーマを明確に定義します。例えば、「〇〇機能の使いやすさを改善する」「開発プロセスにおけるXXの遅延を解消する」などです。
  2. 参加者選定: チームメンバー全員が参加することが理想的です。異なる役割や経験を持つメンバーがいるほど、多様な視点を引き出しやすくなります。
  3. ツール準備:
    • ホワイトボードまたは模造紙
    • 付箋(複数色あると良い)
    • ペン
    • オンライン実施の場合は、Miro、Mural、FigJamなどのオンラインホワイトボードツール
  4. ファシリテーター準備: ワークショップの流れを理解し、中立的な立場で進行役を務めるファシリテーターを選出または担当者を決めます。

ワークショップ実施ステップ

ステップ1:オープニングと目的共有(5-10分)
ステップ2:チェックインと多様性の認識(10-15分)
ステップ3:個別思考・視点出し(15-20分)
ステップ4:共有とグルーピング(15-20分)
ステップ5:統合と議論(15-20分)
ステ6:ネクストステップとクロージング(5-10分)

効果的な実施のためのポイント

ケーススタディ例:新機能の企画

ある開発チームが、既存プロダクトに新しいコミュニケーション機能を追加することを企画しています。チームには、長年プロダクトに関わるベテランエンジニア、ユーザーサポート経験のあるメンバー、UI/UXデザイナー、新卒エンジニアなどがいます。

このワークショップを実施することで、以下のような多様な視点からのインプットが得られる可能性があります。

これらの視点を組み合わせることで、「既存システムと連携しつつ、ユーザーが過去に困っていた課題を解決する、最新技術を活用した直感的なコミュニケーション機能」といった、より網羅的でユーザーニーズに合致したアイデアが生まれる可能性が高まります。

まとめ

チームの多様性は、適切に活用すれば問題解決やアイデア創出において強力な武器となります。本記事で紹介したワークショップは、その多様な視点を意図的に引き出し、チームの集合知を最大限に引き出すための実践的なアプローチです。

このワークショップを定期的に実施することで、チームはより複雑な課題に対応できるようになり、革新的なアイデアを生み出す文化を育むことができます。ぜひ、貴チームでも試していただき、多様性の力を実感してください。

次回のワークショップに向けて、今回の経験を振り返り、より効果的な進め方を探求することも忘れないでください。