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【実践ワーク】チームメンバー間の期待値を可視化し、相互理解を深めるワークショップ

Tags: チームビルディング, コミュニケーション, 相互理解, 期待値調整, ワークショップ, 心理的安全性

チームメンバー間の「期待値のズレ」がもたらす問題とは

チームで協働する上で、個々のメンバーが互いにどのような役割や貢献を「期待しているか」、あるいはどのような役割や貢献を「期待されていると感じているか」は、円滑なコミュニケーションと効率的な連携の基盤となります。しかし、この「期待値」はしばしば暗黙のうちに存在し、明示的に共有されることが少ないため、メンバー間でズレが生じやすいのが現状です。

この期待値のズレは、以下のような様々な問題を引き起こす可能性があります。

これらの問題を未然に防ぎ、チームの連携を強化するためには、メンバー間の期待値を可視化し、共通理解を深めるための意図的な働きかけが必要です。本記事では、そのための実践的なワークショップをご紹介します。

ワークショップの目的と概要

このワークショップの主な目的は、チームメンバー各自が抱いている「チームや他のメンバーへの期待」「チームや他のメンバーから自分への期待だと感じていること」をオープンに共有し、相互理解を深めることです。これにより、期待値のズレを解消し、より健全で生産的なチーム関係を築くことを目指します。

このワークショップは、以下のような状況にあるチームに特に推奨されます。

ワークショップは、数時間で実施可能であり、対面でもオンラインでも実施できます。

【実践ワーク】期待値可視化&相互理解ワークショップの手順

準備

手順

ステップ1: ワークショップの目的とグランドルールの説明 (5分)

ファシリテーターがワークショップの目的(期待値の可視化と相互理解)を改めて説明します。そして、全員が安心して意見を共有できるよう、以下のグランドルールを設定・確認します。

ステップ2: 個人の期待値を書き出す (15-20分)

各自、以下の2つの観点について、具体的な内容を付箋に1つずつ書き出します。プライバシーを考慮し、匿名で書くか実名で書くかはチームの状況に応じて事前に決めます。最初は考えられるだけ多くのアイデアを出すことを意識します。

ステップ3: 期待値を共有し、可視化する (20-30分)

書き出した付箋を、観点Aと観点Bで分け、ホワイトボードやオンラインボードに貼り出します。貼り出す際は、可能であれば同じような内容を近くにまとめると、後のステップで整理しやすくなります。

全員が貼り終えたら、各自が貼り出した内容を簡単に説明します。「私は〇〇さんに、〜〜を期待しています」「私はチームから、〜〜を期待されていると感じています」のように具体的に共有します。この際、詳細な議論はせず、まずは全員の期待を「出す」ことに集中します。

ステップ4: 期待値の整理と対話の促進 (30-40分)

貼り出された付箋を俯瞰し、以下のような観点から整理したり、注目すべき点について対話を促します。

これらの発見に基づき、特にズレや不明瞭な点に焦点を当てて対話を行います。ファシリテーターは、感情的にならず、互いの意図や背景を理解することに注力できるよう、対話をリードします。「なぜそのように期待していますか?」「なぜそのように感じていますか?」といった問いかけが有効です。

ステップ5: 合意形成とネクストアクションの設定 (10-15分)

対話を通じて明確になったこと、共通理解が得られたこと、あるいは解消すべき期待値のズレについて、チームとしての合意事項を確認します。可能であれば、特に重要だと考えられる共通の期待や、明確になった役割・責任などを簡単に文書化することを検討します。

また、今回のワークショップだけでは解決しきれなかった問題や、継続的に意識・実施していくべきこと(例: 定期的な1on1、非同期コミュニケーションのルールの見直しなど)について、ネクストアクションを決定します。

ステップ6: ワークショップの振り返り (5分)

ワークショップ全体を簡単に振り返り、参加者の感想や気づきを共有します。ワークショップ自体が効果的だったか、改善点はないかなどを話し合い、今後のチーム運営や同様のワークショップに活かします。

ワークショップ成功のためのポイント

まとめ

チームメンバー間の期待値のズレは、多くのチームで潜在的な問題の根源となっています。この「期待値可視化&相互理解ワークショップ」は、普段言語化されないお互いへの期待をオープンに共有し、建設的な対話を通じて共通理解を深めるための強力なツールです。

このワークショップを実践することで、チーム内のコミュニケーションが改善され、役割分担が明確になり、相互の信頼関係が強化されることが期待できます。結果として、チームのパフォーマンス向上やエンゲージメント向上に繋がるでしょう。

ぜひ、皆様のチームでもこのワークショップを試していただき、より連携の取れた、健全なチーム運営を実現してください。