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【実践ワーク】チームで複数の選択肢から最適な案を選び取る意思決定ワークショップ

Tags: 意思決定, チームワークショップ, 決定力向上, 問題解決, 合意形成

チームでソフトウェア開発を進める中で、技術選定、アーキテクチャ設計、機能開発の優先順位付けなど、複数の選択肢の中から最適なものを決定する必要に迫られる場面は少なくありません。これらの決定は、プロジェクトの成否やチームの生産性に大きく影響します。しかし、感覚や一部の強い意見に基づいて決定してしまうと、後になって問題が生じたり、チーム内に不満が残ったりする可能性があります。

本記事では、チームで複数の代替案を客観的に評価し、論理的に最適な案を選び取るための実践的な意思決定ワークショップについて解説します。このワークショップを通じて、チーム全体の納得感を高め、決定の質を向上させることを目指します。

ワークショップの目的

このワークショップの主な目的は以下の通りです。

ワークショップの進め方(手順)

このワークショップは、概ね以下の手順で進行します。所要時間は、意思決定の複雑さや代替案の数によりますが、通常1〜3時間程度を見込んでください。

準備

ステップ1:意思決定の目的とスコープの明確化(15分)

まず、「何を、なぜ決定する必要があるのか」をチーム全体で明確にします。

これにより、議論の方向性が定まり、目的に沿った代替案や評価基準を検討できるようになります。

ステップ2:代替案の洗い出し(20分)

今回の意思決定において考えられる全ての代替案をリストアップします。

ステップ3:評価基準の設定と重み付け(30分)

代替案を比較検討するための評価基準をチームで合意形成します。

ステップ4:各代替案の評価(45分)

設定した評価基準に基づき、各代替案を一つずつ評価します。

ステップ5:評価結果の共有と議論(30分)

各代替案の評価結果をチーム全体で共有し、深く議論します。

ステップ6:最適な案の選定と合意形成(20分)

議論の結果を踏まえ、最適な代替案を決定します。

ステップ7:決定内容の確認と次のステップ(10分)

決定した代替案、その決定に至った理由、今後のアクションプランを明確に記録し、チーム全体で確認します。

効果を出すためのポイント

決定マトリクスの例

決定マトリクスは、複数の代替案を複数の基準で評価し、比較検討する際に非常に有効なツールです。以下にシンプルな例を示します。

| 代替案名 | 基準A (重み: 5) | 基準B (重み: 3) | 基準C (重み: 2) | 総合評価 (計算例: A5 + B3 + C2) | | :------------- | :-------------- | :-------------- | :-------------- | :--------------------------------- | | 代替案 X | 4点 | 3点 | 5点 | (45 + 33 + 52) = 20 + 9 + 10 = 39点 | | 代替案 Y | 3点 | 5点 | 4点 | (35 + 53 + 42) = 15 + 15 + 8 = 38点 | | 代替案 Z | 5点 | 2点 | 3点 | (55 + 23 + 32) = 25 + 6 + 6 = 37点 |

評価点は1〜5点で、点が高いほど基準を満たしているとする。

この例では、総合評価だけを見ると代替案Xが最も高いですが、なぜXが選ばれたのか、YやZの利点は何か、といった議論を深めることが重要です。総合評価はあくまで参考情報として活用し、チームの議論と合意形成を重視します。

まとめ

チームで複数の選択肢から最適な案を選び取る意思決定ワークショップは、個人の直感や特定メンバーの意見に依存しない、客観的で論理的な意思決定プロセスをチームに根付かせるための強力な手法です。

本記事でご紹介した手順やポイントを参考に、ぜひ皆様のチームでも実践してみてください。繰り返し実施することで、チームの決定力は着実に向上し、より迅速かつ質の高い判断を下せるようになるはずです。

このワークショップを経て決定された事項は、次のステップである具体的なアクションプラン策定ワークショップなどへと繋げていくことができます。チームの「決定する力」を高め、問題解決や目標達成に向けて効果的に前進していきましょう。